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『日本の農業に革命が必要!』

日本の農業に革命が必要!


【高齢化が進む農家】
今、農家の高齢化が進み、手つかずの畑が増えていることが社会問題となっています。
高齢化ということは様々な問題を抱えていますが、今回は農業について考えてみたいと思います。

農業就業者の平均年齢は、2018年で66.8歳と高齢化しています
1960年には42歳だったものが年々高齢化していき、ついには66.8歳となってしまったのです。

平均が66歳ということなので70代、80代の人が農業に従事していることが多いのが現状です。
農業は肉体労働ですから、60代後半や70歳を過ぎて農業をするのはとてもしんどいことだと思います。

サラリーマンであれば、悠々自適の隠居生活をしている年なのに、農家の人たちは汗水たらして働いているのです。
これは大変です。

ひと昔前の農家のお婆ちゃんのイメージは、腰の曲がったお年寄りといった感じでした。
そうです、腰が曲がってしまうほど、農業は腰に負担がかかる大変な仕事なのです。
そもそもお年寄りがする仕事なのか? とわたしは疑問に思ってしまいます。
ツライ肉体労働であれば、若者のほうがいいはずです。
ですが、現代の若者は農家を継ぐことを嫌って跡継ぎのいない農地が増えてしまっているのです。

 

【農業が抱える問題】
〈耕作地放棄〉
農業が抱える問題でまず挙げられるのが、耕作地放棄です。
「耕作放棄地」とは、過去1年間耕作されていない田畑のことです
この耕作放棄地は年々増加する傾向にあります。
2015年のデータでは、東京ドーム9万個分の農地が作物を実らせることなく、放置されているのです。
1975年から比べると約3倍も耕作放棄地が増加したことになります。

 

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本来であれば何らかの作物を実らせる農地が放棄されているということは、当然のことながら収穫量が減少してしまいます。

さらに耕作放棄地は単に作物を実らせないだけの問題ではなく、不法投棄や野生の鳥獣被害などの問題を引き起こしています。
これらによって地域住民に悪影響を与えています。


〈農業就業者の減少〉
高齢化に伴って問題なのが農業就業者の減少です。
戦後の農家の人口は、1500万人以上いましたが、現在は200万人を切っているのが実情です。
1960年には約1454万人いた農業就業者が、2019年には約168万人まで減少してしまいました。
これはピーク時の1/8以下となったことになります。
このままでは100万人まで減少してしまうと予想されています。

現在農業に従事している人たちが高齢であり、若い世代が少ないとするならば、農業就業者の人口が確実に減少してしまいます。

農業就業者が減少するということは、農作物の収穫量が減少するということです。
日本の国自体の人口が減少しつつあるとはいえ、収穫量が減少した作物は外国からの輸入に頼るしかありません。

1960年代には、日本の自給率が79%あったものが、2017年には40%を切るまでに下がってしまいました。

国内でまかなえない食料は当然輸入に頼るしかなく、約63%の食料を外国から輸入しています。
みなさんもスーパーなどで買い物をするときに生産地などをよく見てみると外国産のものが以外に多いことに気がつくでしょう。
特に果物は外国産が多いです。

別に外国からの輸入に頼ったっていいじゃないか、と思うかもしれませんが、そこにはある深刻な問題が潜んでいるのです。

食糧を輸入に頼ることの怖さは、もしなんらかの理由によって輸入がストップしたり、減ったりすれば日本の食卓から様々な食材が消えることを意味します。
または値段が高騰して家計を圧迫することになってしまいます。
つまり、いままでの食生活を続けられなくなるということです。

もちろん平和な世の中が続けばいいのですが、万が一天変地異などの災害や地球の人口が増えたことによる食料問題が起きたときに、食料を輸入できなくなることだってありうるのです。

 

【日本の農業が変りつつある】
若者の農業離れによって後継者不足に悩む農業ですが、いま新たな潮流が起きています。
それは一般企業が農業に乗り出してきているのです。
耕作放棄地があることを農業の危機として捉えるのではなく、そこにビジネスチャンスとしてみて農業とはほとんど縁のない企業が農業に進出しているのです。


〈農業ビジネスに進出している企業〉
三菱地所・ローソン・イトーヨーカ堂・イオン・スズキ・JAL・JTB・NTT西日本・小田急鉄道・JR九州など3000社以上の企業が農業に参入しています。

この中でも最も注目されているのがイオングループのイオンアグリ創造株式会社なのです。
2009年に設立された若い企業ではありますが、全国に20カ所、350ヘクタールの農場を運営しています。
それも北海道から大分県まで全国に分布された農場で、その地域にあった作物を栽培しているのです。

 

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それにしても小売店のイオンがなぜ農業に参入したのでしょうか?

そこにはある秘密があるのです。
実は、耕作放棄地などを利用して農業をしたいけれど農地がない人と、使っていないから農地を貸したい人を仲介する企業が現れたのです。
その企業とは、「農地バンク」です。
農地バンクが農家と企業の間に入ることで、農業をやりたいけれど農地に縁がなかった企業と跡継ぎや高齢となったことで空いてしまった農地を結びつけることが可能となったのです。

そこでは元農家さんがパートとして働いたり現地の農業指導(アドバイザーなど)に入ったりして雇用も生み出しているのです。

イオンアグリの農場で働く平均年齢は、33.3歳と農業全体の平均年齢66.8歳を大きく下回っています。
つまり、それだけ若者が農業に携わっているということなのです。


〈イオンアグリの新しい取り組み〉
なぜ若者が農業をやりたがらないのか?
それは“キツイ”から、そして“休みがない”などの労働時間の問題を抱えているからです。
そもそも農業は、労働基準法の適用除外の項目があるのです。
「必ずしも休日を与える必要がない」
「割増の残業代を払わなくていい」
つまり、労働時間や残業代などの規定がないため長時間労働になってしまい、長く働いても会社員のように割増の賃金をもらえるわけではないのです。

しかし、イオンアグリは一般の企業と同等の労働基準を設けることで働きやすい環境を整えているのです。
それによって若者も働く意欲を維持できるというわけです。

実際には、繁忙期にはしっかりと働いて、閑散期には労働時間を減らすという取り組みをしているのです。
また年間20日間の連続休暇を取れる仕組みもあるのです。

若い人が農業をやりたがらない理由が休日などの自由な時間が取れないということです。
イオンアグリの取り組みなら若い人にも働きやすい農業になっているのです。

 

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【最も大きな問題は農業における所得】
農業は自然と大きく関わっていますから、異常気象や災害などによって作物の収穫量が減ってしまうときがあり、収入が安定しないという問題を抱えています。

実は農地を手放す理由の一つになっているのが、災害や人員不足による生産量の低下による収入減少で農地を手放している農家が増えているのです。

 

〈日本の農家を救うイタリア野菜農業〉
いまイタリヤ料理店で使われるイタリヤ野菜を作る農家が増えています。
イタリヤから輸入すると獲れたての野菜といっても空輸する関係で消費者の口に入るのは一週間ほど経過してしまいますが、国内の農家が作るイタリア野菜ならば、最速その日に取れた野菜を食することも可能なのです。

イタリア料理店とすれば獲れたての野菜で料理を提供することが出来、お客は新鮮な野菜を食することができる。
しかも農家にとって貴重な収入源となる。
これは良いことばかりです。

通常農家が作った作物が消費者のところへ届くには農協や仲卸業者を間にはさまなければなりません。
しかし、イタリア野菜専門にやっている農家は、小売店(お店)や消費者と直接つながることで価格を自分で決めることができ、安定した収入を確保することが出来ているのです。

 

【近未来の農業は】
おそらく近未来の農業は会社員のように勤め人の仕事になっていくことでしょう。
農家が代々家業を継ぐのではなく、ひとつの企業体が農作物を作っていく。
しかも、作る作物は本業や他のビジネスと繋がりをもったものとなるでしょう。
例えば、飲料メーカーが自社のブランド飲料の材料として作物を改良して新しい飲料を開発する、など様々な連携が考えられます。

当然、AIやロボットが導入されて活躍することになるでしょう。
それによって個人の農家では出来なかった大規模な農業が可能になります。

さらに時代が進むと土の上で作物を作るのではなく、工場のような建物の内部で野菜などの作物を作ることになるはずです。
人手ではそれほど必要なくなり、AIが管理し、ロボットが働くようになります。

 

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人類が宇宙へ飛び出す時代を迎えるためには、土から作物を作ることから離れなければなりません。
近未来は農地とは土の上を意味しなくなります
ですから、海の上に浮かんだ農場が現実となることも十分考えられます。
未来の農場は場所を限定しなくなるのです。

また、いままでの時代であれば農業に興味があっても、農業をやりたくても実家が農家でなく農地を持っていないために農業につけなかった人が、農地をレンタルしてビジネス感覚で珍しい野菜や需要のある作物を自由に作ることができる農業をすることも可能になってきます。

近未来の農業は、ビジネス要素をもった事業となるでしょう。
いままでのように単に農作物を作って出荷するというだけで、あとは仲介業者や消費者の消費行動に任せるのではなく、他のビジネス(料理店、小売店、食品など)をさらに良くするため、あるいは相乗効果をもたせるために特定の作物を作るようになるでしょう。

 

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【個人的な見解】
個人的に気になるのは、自給率です。
やはり国内の自給率が70%を下回るようでは、将来が不安です。

イオンアグリが取り組んでいることは、ある種革命的な出来事です。
もし、なにも対策をしなければ日本の農業は衰退してしまい、国内産の野菜や作物は希少で高額なものとなってしまう可能性だってあります。
もっと若者が農業に興味を持ち、ビジネス感覚を生かして、新しい農業の形を形成していくことを期待したいと思います。

「農業ってカッコいい」
そんな風に思ってもらえる時代が来ることを待ち望みます。

 

お読みいただきありがとうございました。