幸せな未来を考えたい人のための幸せな明日を探せるブログ

「(旧タイトル:サーチライト)AIなどの最先端技術と人間の幸せが両立する社会を実現(目指す)するための提言」

『あなたはプライバシーとさよならできますか? ~デジタルツインというもう一人の自分~』

 

あなたはプライバシーを守りますか?

それともスマホを捨てますか?

 

 

【デジタルツインとは?】


みなさん「デジタルツイン」って、知ってますか?

「デジタルツイン」とは、三次元世界(現実世界)に実在しているものを、デジタル空間でリアルに表現したものをいいます。
人間に対して使うこともあれば、技術的なことでもデジタルツインは存在しています。

今回は人間に関するデジタルツインについて考えて見たいと思います。
人間に関するデジタルツインとは、「あなたのデータから作られたあなたそのもの」となります。
デジタルツインの正体は、スマホやPCから送られてくる大量のデータです。

現在、生み出されるデジタル情報は、年間50兆GBという天文学的数字です。

 

f:id:yumenotsubasa:20200705134342j:plain

 

 

【デジタルツインから個人を特定する実験】


NHKが行ったデジタルツインに関する実験があります。
ある見知らぬ人物の9年間のデジタルデータをもとにどこまで個人情報を掴めるかという実験を行っています。
その実験で使用されたデータ量は3GBに満たないものです。
主に使用したデータの内容は、「検索履歴」「位置情報」「画像情報」です。

 


《あぶりだされた個人情報》
被験者Xさんは、日常生活において片時もスマホを手放せないと言います。
実験では、スマホのデータだけでどこまでXさんの正体(どんな人間か)に迫れるかを検証しました。
(同意のもとで情報は提供された)

一方、デジタルツインを解析するのはマーケティングのために個人データの解析を手掛けるIT企業。
調査をするIT企業には、Xさんの年齢や住所などの個人情報は一切教えません。
スマホの情報のみで個人を特定しようということです。

利用した情報は、
「Googleに残っている検索履歴」
「スマホの位置情報」
「スマホにある画像情報」
です。

果たして結果は、

「性別」「年齢」「生活エリア」「職業」「収入」「住所」「既婚者かどうか」「恋人がいるかどうか(異性関係)」「趣味はなにか」「睡眠している時間帯と睡眠時間」「行った場所」「移動手段になにを使用したのか」「どこで外食をしたのか」「経営状況」「自炊しているかどうか」
「夜遊びしているかどうか」「浮気癖」「健康状態」

これらすべてがXさんという人間をあぶりだす情報だったのです。

住所では、Xさんの自宅が3階であることも判明しました。
(位置情報には高さも含まれているため)
また、部屋の大きさから単身者であることも判明しました。
本人の姿も画像情報からAIが割り出しました。
他にも、Xさんが過去に浮気して彼女と別れたこと(1年前に別れた)まで判明してしまいました。


現実世界に住むある特定の人に直接会わなくても、「職業」「収入」「既婚者かどうか」「趣味」「住所」「悩み」などが分かってしまうのが、デジタルツインなのです。
つまり、プライバシーが丸裸にされるのが「デジタルツイン」なのです。

 

 

【デジタルデータはすでに無断で使用されている】


《リクナビ問題》
密かに使われている個人情報
昨年「リクナビ」が就職活動中の学生のデータを集め、内定を辞退する可能性を無断で割り出していました。(いわゆる「リクナビ問題」)

リクナビの運営会社はAIを使って内定を辞退しそうな学生を算出する独自のシステムを作成。
学生に無断で、一人ひとりの内定辞退率を割り出し、大企業に販売していました。

そうです、個人情報は企業によって密かに使用されているのが現実です。
法律はこうした現状に対応できていません。

 

 

《香港の革命》
香港では民主化と自由を求める若者たちが革命を起こそうとしています。
(残念ながら、「国家安全法」が成立してしまいました)
彼らは中国政府から常に警戒されています。
革命に参加する主要人物には常に警察が張りついて監視しています。

香港では中国政府に身元がバレないように「デジタル断ち」という動きがでています。
具体的には、電子マネーの使用を止め、現金を使って生活することです。
電車を乗るにも現金を使用し、自分がどこの駅から乗って、どこの駅で降りたのか、という情報をデジタル世界に残さないようにしているのです。
中国の警察は位置情報から市民をデジタル空間に浮かび上がらせ、そこからデモに参加した人たちを特定していたのです。
中国ではIDカードの携帯が義務付けられています。
ですがIDカードを持ち歩くだけで、位置情報が割り出されてしまいます。
そこで香港革命の若者たちは電波を通さない特殊なケースにIDカードを入れて持ち歩いています。

香港革命を目指す若者たちは、安全のために便利さを捨てたのです。

 

 

《無料で利用できるものとは》
LINEなども登録すると無料で使用できますね。
Googleも課金システムがありません。
どうして無料で利用できると思いますか?
それは個人情報を企業が利益に変えているからです。

Googleの広告ビジネスの売り上げは14兆円を超えています。

 

 

《警鐘を鳴らす人》
ハーバード大学ビジネススクールの名誉教授ショシャナ・ズボフ氏はこう警鐘を鳴らしています。
「巨大IT企業は私たちのプライバシーというこれまで手付かずだった聖域に足を踏み入れ、そこを新たな市場をして開放してしまったのです」
「私たち一人ひとりの経験、日々の行動、何を考え、何を感じ、どんな言動をしているか、私たちの人物を形作るすべてです」
「プライバシーはもはやあなたのものではなくなっているのです」

 

 

【便利な社会と個人情報(プライバシー)のどちらを選ぶ?】


「Googleで検索する」「Amazonで買い物をする」「LINEで会話のやり取りをする」
これらはすべてサービスを提供している企業に個人情報を差し出しているようなものです。

ですから、AmazonやGoogleには、あなたの過去の履歴から判明した「興味のあるもの」「趣味のもの」の広告が表示されるのです。

すでにあなたのプライバシーは特定の企業に知られているのです。
ただし、その得た個人情報を悪用または無断流出、情報の売買などに使用しなければ問題はありません。

ですから問題は、個人情報を得ることができるサービスを提供している“企業の倫理”となります。

あなたがGoogleで検索するたびにGoogleのAIは「あなたの趣味や興味がなんであるのか」を学習していきます。
Amazonで買い物をするたびに、AmazonのAIは「あなたの欲しいものがなんであるのか」「どれだけお金を使用できる人間なのか」を学習していきます。

でも、そうであるとうすうす気がついていても「自分の個人情報を出すことに気にしていない」というのが多くの人たちの現状でしょう。

その理由は、「プライバシーの提供による危険や不安」よりも「便利」が手放せないからです。

人間は、一旦便利さを経験すると、それ以前の生活に戻ることは出来ません。
もし、手に入れた便利さが失われるとしたら、世界的な天変地異や戦争などの人類の危機が起きたときでしょう。
そうした人類レベルの危機がこなければ、人は「便利さ」を手放すことはできないと思います。

これは便利さを否定しているのではなく、人間の心理について語っているだけです。
便利になるということは、人間社会が進歩・発展しているという意味でもありますから、大いに歓迎することです。
ですが、そこに落し穴が待っていることもあるのです。
科学の進歩が必ず人類の幸福につながるとは言いかねるからです。

原子力に関する科学が、エネルギーとして利用するものであれば人類にとって幸をもたらしますが、同じ科学が爆弾として使用すると核兵器となります。

包丁で人を殺す人がいるから包丁を販売することを禁止しようとか、料理で包丁を使うことをやめようなどと誰もいいませんね。
自動車による死亡事故が起きるから、自動車の製造、販売、利用を廃止しようとは誰もいいません。

デジタルに関することも同じです。
個人情報が一企業に筒抜けになっているからと言って、その利用を止めることはできないでしょう。
だって、便利なんですから。
スマホがなくては生きていけないという人もたくさんいるでしょう。

「便利さ」を人間は手放すことはできないのです。

だとすると問題は、個人情報を収集している企業が手に入れたデジタルツインをどう扱うのか、その企業に対して利用者がどのように受け止めるのか、という問題になります。

近未来には、Google、Amazon、Facebook、Twitter社などが持っているデジタルツインなどが結合し、全世界の人類のデータが繋がっていく可能性があります。

それは人類の英知を遥かに超えたAIの誕生を意味します。
AIは人類の行動を予測し、気象を予測し、経済の動向を予測し、感染症に関する予測を示し、政治的判断を下し、戦争の危機を知らせるようになります。
そう、こまったことがあれば「すべてAIに聞け」という時代が来るかもしれません。

デジタルツインとは、そうした時代の予兆にしか過ぎないということです。
そのときAIは「神」として人類から称賛を浴びる可能性があります。


あなたは3年前にGoogleでなにを検索したのか覚えていますか?
本人がすっかり忘れていることもすべて知っているのがデジタルツインなのです。
ある意味では怖い存在です。

ですからデジタルツインを他人に盗まれる(見られる)ということは、恐怖です。
犯罪者が手に入れればいくらでも犯罪の強力な武器(材料)となります。

 

 

【個人的な意見】


《デジタルツインとは》
デジタルツインとは、デジタル世界にあるデータ(情報)にしか過ぎません。
現実世界に生きている人間の影にしか過ぎません。
ある人の過去の行動をデータ化したものにしか過ぎません。

 

 

《個人情報を保護する守護神としてのAIを登場させる》
現在はスマホなどを使用することに意識が集中していますが、それ以上に忘れてはならないのが、セキュリティーの問題です。
個人情報を勝手に使用されないことに関して単に抗議するだけにとどまらず、技術的に個人情報流出や個人情報の不正利用を防ぐセキュリティーAIを登場させなければいけません。

IT技術の担い手の企業も利用者も、便利なツールを使うことばかり考えています。
ですが、時々刻々と人類の英知を凌駕しつつあるAIの暴走や悪意ある人間から個人情報を守り、洗脳からまもるためには、もうひとつのAIを誕生させることも対策の一つであると思うのです。
つまり、個人情報の保護(防衛)を目的とした防衛専門のAIを登場させなければいけないと個人的には思います。
その防衛AIには人類の倫理を学習させることが絶対的に必要です。

 

 

《デジタル情報を本人が管理することができるようにする》
もうひとつこれからの社会に必要なものがあると思います。
それはデジタルツインに対する個人の権利を保障することです。

GoogleにおいてもFacebookにしても、その企業が持っている個人情報(デジタルツイン)に対して利用者である一個人が企業にアクセスして自分のデジタルツイン情報を管理することができる社会にすることが大切であると思います。
(ただし、これは企業側が嫌がるでしょう)

一企業が持つデジタルツイン情報にアクセスし、知られたくない情報を削除したり、特別に保護したい情報をより強い防衛力を持たせるようにすることです。
(この場合アクセスできるのは自分のデジタルツインのみになります)
これによって「恥ずかしい」「知られたくない」「残したくない」という情報を削除したりすることで個人の人権を保護することができます。
個人情報はその人自身に権利があります。
個人情報の無断利用はいけません。

 

f:id:yumenotsubasa:20200705134301j:plain

 

 

《Google社の主張》
Google社によれば「データはGoogleアカウントで管理でき保存するデータ種別や保存期間の設定または削除が可能」と主張していますが、それはマスターデータではないと思われます。

マスターデータまで個人データを削除できたなら、Google社にデータは残らなくなり、広告に使用するデータが不足し、マーケティングの意味が半減するからです。
(あくまでも個人の見解)

 

 

《人間の本質とは》
私たちは、着ている洋服を脱いで裸では街を歩けません。
なのに、デジタルの世界ではプライバシーを丸裸にされているにも関わらず、平気でいます。
不思議といえば不思議です。
知られたくないこと、教えたくないことがデータとしデジタル世界に存在しているのです。

便利さとプライバシーの保護が共存する社会にすることが議論されなければ、個人情報は一企業や国家によって侵害され続けるでしょう。

デジタルであろうが、リアル(現実)の世界であろうが、人としての倫理を忘れてはいけないのです。

人間の本質は、決してデジタルツインのなかにあるデータではなく、泣いたり笑ったり、悩んだり怒ったりする感情を持った心(魂)こそ人間存在の本質だと、私は思うのです。

 

最後までお読みくださり、誠にありがとうございました。