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「(旧タイトル:サーチライト)AIなどの最先端技術と人間の幸せが両立する社会を実現(目指す)するための提言」

『高齢ドライバーによる事故を防ぐ“ワンペダル”』

高齢ドライバーによる事故を防ぐ“ワンペダル”


【事故を起こしやすいのは高齢者と十代の若者】
近年、高齢ドライバーによる事故が増え、世間の関心を集めています。
そこで以前にも取り上げた「高齢ドライバーによる事故の問題」を再度取り上げたいと思います。

死亡事故の件数を年齢別に見てみると、一番多いのが85歳以上の高齢ドライバーなのです。
その次に多いのは18歳、19歳の未成年のドライバーとなっていて、3番目に多いのが、また高齢ドライバー(80~84歳)なのです。

この事実から言えることは、80歳以上の運転は危険であるということです。
もちろん事故を起こさない高齢ドライバーもいると思いますが、潜在的に事故発生の予備軍とも言えます。
さらに高齢ドライバー本人はきちんと運転できていると思っても、周りのドライバーからみると「危ないな~」と感じることも多いものです。

 

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【運転をしないという勇気ある選択】
高齢ドライバーによる事故を防ぐにはどうしたらいいのか?
簡単に答えは出ます。

それは、“高齢となったら運転をしないこと”です。
つまり、運転免許を自主返納してしまうことです。

2018年に運転免許を自主返納した人の数は42万人。
そのうち75歳以上が29万人います。

2010年頃から自主返納する人の数は増え続けています。
2010年には、6.5万人でしたから8年間で運転免許の自主返納をする人が約6.5倍も増えたことになります。
つまり、それだけ高齢者とその家族の意識が高まっていると言えます。
そうです、高齢者も気がついてはいるのです。

それでも自主返納しない人はたくさんいます。
その理由の一つに、身分証代わりに使っているという方もいるようですが、返納しても代わりの身分証明になる「運転経歴証明書」を発行してもらえます。

「そんな簡単に免許を返納できない」という方もいるでしょう。
買い物、病院への通院、その他にも車がないと不便だったり、生活することが困難になるという方も当然いると思います。

ですが、そんなことを言っていて、もし、誰かを傷つけてしまったら、事故を起こしてしまったら取り返しがつきません。
どんなに後悔しても死んだ人は戻って来ません。

なにより一番いけないのは「自分は大丈夫だ」という考えです
高齢者でなくても、若者でも運転に慣れた人でも、バスやタクシー、トラックなどのプロのドライバーでも事故を起こしたり、事故にあってしまうことがあるのです。
自信は“過信”と思ったほうがいいのです。


【高齢ドライバーのなにが問題なのか】
高齢になったから急に運転技術が衰えるということはほとんどないでしょう。
例えば70歳になったとたんに突然運転が下手になった、なんてことはあまり聞きません。
車の運転もある種の運動能力ですからある日急に運転が下手になるということはなく、高齢になるにつれて徐々に衰えていくということだと思います。

実は、ここにこそ高齢ドライバーが事故を起こしてしまう罠が潜んでいるのです。
昔話に茹でカエルの話があります。
鍋の中の水にカエルを入れて、下から火をつけると徐々に温まった水はやがてお湯になっていきます。
中にいたカエルは水だと思って安心して入っていたのに、水がいつの間にか熱くなっていたことに気がつかなくて茹でカエルとなってしまった。
(急に水がお湯に変わればカエルも慌てるが、徐々に水が温まっていくとカエルは気がつかなくて茹でられてしまうという話です)
なんて、話がありますが、これと同じことが言えるのではないかと思います。
(実際は、カエルは途中で逃げ出すと思いますが、そういう昔話があるということです)

ある日急に運転技術が下手になって、危ない思いをした人は、おそらく家族に言われなくても「運転するのを止めた方がよさそうだ」と自ら悟るでしょう。
ですが、いつの間にか、少しずつ衰えていくものはなかなか気がつかないものです。
本人とすれば若いときと変わらない運転をしているつもりでいると思います。
また、何十年も運転してきた自信というものもあるでしょう。
ですが、昨日無事であっても、今日事故を起こさない保証はどこにもないのです。

運転の世界ではよく言われますが「かもしれない運転」をしなさいと言います。
逆に「だろう運転」はしてはいけないと言います。
「かもしれない運転」とは、危険が“あるかもしれない“と常に警戒する運転のことで、「だろう運転」とは、憶測や思い込みで大丈夫だろうと思って確認不足の運転をすることです。

高齢ドライバーも同じです。
「高齢になったけど、俺は(私は)大丈夫だろう」
「運転には自信があるから事故は起こさないだろう」
と考える人は事故発生予備軍と言えます。

逆に「高齢となったからいままでとは違って運転技術が衰えてきているかもしれない」
「高齢者なんだから、事故を起こす確率が高くなっているかもしれない」
「自分も事故を起こした高齢ドライバーのように事故を起こしてしまうかもしれない」
と考えることが非常に大切だと言えます。

ですが、「かもしれない」と考えるような人が自主返納をして、「大丈夫だろう」と考えている人は自主返納をしないで運転を続けているというのが現状ではないでしょうか。

運転に関しては、自信は「過信」にしか過ぎないと述べておきます。
自分が運転操作を間違えなくても、間接的に事故に巻き込まれることだってあるのですから、交通事故とは自分一人だけの要因ではないのです。


【高齢者が事故を起こす要因】
高齢ドライバーが事故を起こしてしまう要因について考えてみます。
まず挙げられるのが、「反射速度が遅くなる」ことです。
加齢によって運動機能が衰えてしまうことです。

それと認知症の初期症状です。
明らかに認知症となっていれば、医師や家族から運転は止められるでしょう。
ですが、認知症の初期で本人も家族も気づいていない場合は、普段通りだと思って運転してしまいます。
でも、認知症の症状である空間認知機能が衰えてしまったことによって事故を起こしてしまうことがあります。

そこで認知症であるかどうか高い確立で判断できる判断方法があります。
それは運転する場合、右側は本来良く見えるはずなのに右側に傷があるようなら、空間認知機能に問題が起きているサインの可能性があります。
通常は接触事故や引っかき傷などは左側に多く発生します。
なぜか右側を接触してしまうようなら認知症の可能性があります。

高齢者の反応速度が遅くなるのは主に眼(視力)が衰えていくからなのです。
情報を得ている視覚の機能が衰えてしまうことで、どうしても若いときと比べて反応速度が遅くなってしまうのです。
特に夕方や夜、そして雨のときに見えづらくなります。

20代の人の視野角は174°ですが、70代になると視野角は150°と狭まってしまいます。
当然知らず知らずのうちに見えづらくなっているのです。
高齢になると肩や首の筋力が衰えてくるので、状況確認において眼球を動かすだけで確認を行ってしまうことが多くなります。
視覚や運動機能が衰えた自覚があるならば、目だけを動かして確認するのではなく、首を左右に振ってよく周りを見ることが必要とされます。

人間は、どうしても年をとることで体が衰えていきます。
それは健康な人も、若いとき運動をしていた人にも等しく衰えはやってきます。
ですから、ある程度の年齢になったら車の運転は危険度が高まっているという自覚を持つことが非常に大切です。
軽い単独の接触事故ならまだしも、人身事故を起こしてからでは遅いのですから。

それと、高齢者の事故は、実は自宅周辺で起こることが多いのです。
それは慣れている道ゆえの油断があるのかもしれません。


【高齢ドライバーに多い踏み間違いを防止する】
高齢ドライバーによる重大事故の多くは、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故です。
これは初歩的なミスですし、誰一人好き好んで間違ったわけではありません。
でも、高齢になると起きてくるのが踏み間違いなのです。


〈踏み間違い事故を防ぐペダル〉
熊本県にあるナルセ機材有限会社の鳴瀬さんは、自身の経験から踏み間違いを防ぐペダルを開発しました。
それは「ワンペダル」と呼ばれるもので、右横(扇形に広げる)にペダルを動かすとアクセル(加速)になり、そのまま踏み込めばブレーキになるペダルです。

つまり、アクセルとブレーキを別な操作方法とすることで踏み間違いを防止するという画期的なペダルなのです。
アクセルとブレーキを踏み間違えるのも、どちらも踏み込むペダルだからです
横に力を加えるアクセルと縦の踏み込みのブレーキでは、間違えようがありません。
つまり、踏むのはブレーキだけなのです。

人間、とっさに動くのはおそらく踏み込みです。
ですから鳴瀬氏の開発したワンペダルでは、ペダルを踏み込んでも車は動きません。
意識的にペダルを横にスライドしなければ車は走らないのです。
ですからとっさにペダルを踏み込んでしまっても事故は起こらないのです。

 

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ワンペダルの長所は、常にブレーキペダルの上に足が乗っているということです。
アクセルペダルからブレーキペダルへ足を踏みかえる必要がないのです。
ですから、通常の車の空走距離(アクセルペダルから足を放して、ブレーキペダルを踏むまでに車が走る距離)より短くなるのです。
従来の二つのペダルだと空走距離は0.9秒かかりますが、ワンペダルだと0.3秒で済みます。
これは画期的なことです。

このワンペダルは熊本の工場でしか製造できないため、現在は900台しか設置出来ていません。

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〈運転を助けてくれるサポートカー〉
三菱自動車工業では、「セーフティーサポートカー」と呼ばれている衝突被害軽減ブレーキを搭載した車を開発しています。

どんなサポートをしてくれるのかというと、ペダルを踏み間違えたときに加速を抑制する装置が働き前に進まなくなる機能です。

また、駐車中の状態からギアを間違えて入れてバックとドライブ(D)を逆にしてしまった場合、アクセルを踏もうとすると警告音を発して危険を知らせると共にエンジンに抑制機能が働き急発進しなくなります。
これらの動きはフロントに設置されたフロントカメラによって前方の人や車両などを検知して危険を回避してくれるのです。
他にも前方と後方のバンパーにソナーが設置されているので、障害物を検知することが出来ます。

こうした事故防止の機能は高齢ドライバーにとって強い味方となることは明らかです。


【個人的な意見】
少しでも身体機能に衰えを感じる方は早めに運転免許証の自主返納をおすすめします
なにかあってからでは遅いのです。
まだ大丈夫と思っている、その考えが危険です

それと鳴瀬氏の開発したワンペダルを使用する人が増えることを願います。
政府や自治体も、一定の年齢となった人には、ワンペダルの使用を義務化することをしていかなければなりません。
自主的にと言っていたのでは、いつまでたっても高齢ドライバーによる重大事故は減りません。

 

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一定の年齢になったらサポート機能付きかワンペダルの事故防止機能付きの車両でなければ運転できないようにすることが必要であると思います。

個人的には70歳以上の人が運転する場合、ワンペダルの車かサポート機能付きでないと運転できないようにするべきだと考えます。
そして80歳を過ぎたら運転は止めるべきです。
(将来的にAIによる完全自動運転車が開発されたら、この話は別となります)

今後はAI搭載の自動運転の車に切り替わってくるでしょう。
また、近未来の車は、人間が乗り込んで行き先を告げるだけで目的地に到着することが出来るようになります。
ただ、それまでにはまだ時間がかかります。

今後は事故防止装置付きの車でなければ製造・販売できないという世の中にしなければ、不幸な事故は無くならないでしょう。

個人的には、もう少し年を取ったらワンペダルの車にしたいと考えています。

 

お読みいただきありがとうございました。