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「(旧タイトル:サーチライト)AIなどの最先端技術と人間の幸せが両立する社会を実現(目指す)するための提言」

『言語学習は必要なくなるのか?』

AI翻訳が進むと外国語の学習をする必要がなくなる?

 

【ポケットホンの普及で言語学習はいらなくなる?】
「ポケットホン」便利ですよね!
74言語というものすごい多言語をカバーしていて、しゃべった言葉が即外国語に変換できる。
必要なことは、「ポケットホン」「しゃべること」「スイッチを押すこと」
これだけで外国人と会話が出来てしまう。
便利すぎ~る!

これで外国旅行も心配ない。
街で急に外国人に道を聞かれても大丈夫。

だから、学校で外国語を勉強する必要はない。
そう考える方も多いのではないでしょうか?

 
【古い翻訳ソフトの仕組み】
古い翻訳ソフトがどうやって翻訳作業をしているかというと、

・まず分法解析をするプログラムでもとの文の構文を調べる。
・辞書を使って単語を変換する。
・最後に、再び文法プログラムで翻訳先言語の文を組み立てる。

こうした流れになっています。

こうした以前の翻訳ソフトで特に難しいのが「比喩」「ことわざ」「たとえ話」などです。

つまり、文章全体のニュアンスや前後の文面から予測する単語を当てはめることが苦手だったのです。


【新しい翻訳ソフトの仕組み】
Google翻訳などの新しい翻訳システムは「ニューラル機械翻訳と呼ばれるもので、まだ実用化されて3年くらいしかたっていません。

これは統計的機械翻訳とも言って、大量の対話データベースを材料として、言葉と言葉、構文と構文の対応関係をAIが学習していきます

これは、同じ意味を持つ日本語文と英語文のペアを読み込み、翻訳のきまりを機械学習するのです。

例えば、「私は本を買った」という日本語を翻訳するには、
日本語による源言語と英語の源言語を集めます。

「これはです」「This is a book
私は三郎です」「I am saburou」
「彼はリンゴを買った」「He bought an apple

これらの源言語から該当する可能性の高いものを抽出します。
そして、それを翻訳語として出力します。

 ➡ 「I bought a book

このシステムは同じ意味になる日本語と翻訳文のペアを大量に集めて、それを正確に訳せる確率の高い語を抽出し、新たに文章の訳を考えるのです。

前提として、別の言語のペアを大量に必要とするということです。


【AI翻訳は万能か?】
答えを先に言ってしまうと、万能ではありません

なにが万能ではないのかというと、いわゆる「文学的表現」がAI翻訳にはいまのところほぼ無理です

要するに、情緒的な表現、感情表現、小説(著者)の独特な文体などをAIはうまく翻訳できません。

それと特殊な専門用語まではカバー出来ていないでしょう。
現時点でのポケットホンなどのニューラル翻訳の使用法は、日常会話、旅行、買い物、専門的な言葉が飛び交わない会議、などとなるでしょう。

外国語で難しいのは、日常会話ではなく、専門的知識を要する語彙です
いわゆる業界用語とも呼べる言葉です。
そうした専門性が高い語彙は日常生活では話すことがありませんから、翻訳が難しいのです。
これはその特殊な分野専門の語彙をAIに学習させる必要がありますが、特殊な環境、一部の人にしかニーズがないので、いまは後回しにされているのです。
(特殊な業界用語を集めるのはたいへんです)

ですから、特殊な仕事や文学的な翻訳以外で使用するならば、AI翻訳は十分すぎるほど便利と言えます

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【将来増える職業】
将来的には、ポケットホンの機能がスマホや小さな端末に搭載されるようになるでしょう。
あるいは腕時計などに翻訳機が搭載されて持ち歩けるようになるでしょう。

では、文書を翻訳することを職業としている人たちがいますが、彼らは仕事を奪われてしまうのでしょうか?

実は、逆に今後増えるであろうと予想されている職業があります。
それは「ポストエディター」という、翻訳機械が出力した訳文を編集する仕事です。

AI翻訳によって文章が翻訳されても、AIが完全に的確な言葉に100%変換することはできません。
それは人間ならば前後の文節を読んで状況判断することができますが、AI翻訳には出来ないことも多いからです。
行く通りも考えられる言葉の中からその文章に的確な訳を選択するということに関して完全ではないのです。
それは、人間が持っている経験がAIには無いからです。

ですから文章の中に音楽バンドの「Queen」という名前があると「女王」と訳してしまうのです。

ポストエディターは、AIが翻訳した文章が最適な語彙なのか、的確な表現なのかをチェックして、間違っていれば正しい訳文に修正する仕事です

今後は、こうした職業が増えていくことになるでしょう。


【外国語の学習は必要ないのか?】
現時点では、外国語をきちんと学習した人間の方が翻訳力としては上回っています。
AI翻訳機は人間のような柔軟な対応ができないために、100%完全ではないのです。

外国語の学習については、単に会話するという意味だけに絞ったら、自動翻訳機で済む話ですが、外国語を学習するということ自体が脳を鍛えるという意味があります。

外国語を学習する意味は、
1. 言語学習をすること自体が脳を鍛えて高度な思考力を生み出す。
2. 外国語の学習は、その外国の文化を知ることにつながる。
3. 機械ではなく自分の頭と言葉で話が出来るということは、コミュニケーション能力の発達と相手からの信頼を得ることができる。


実はいくら翻訳機を使って外国の人とおしゃべりをしようとしても、肝心の話す中身(話題)がなければ会話が出来ません。

外国語に限らずいろいろな知識があるということは大切なことです。

人間というのは完全なことを求めません。
ですから、たとえたどたどしい言葉でも相手の言語で会話をしようとすることは、コミュニケーションを友好にすると思います。
一生懸命に単語を頭の引き出しから取り出して相手に自分の意思を伝えようとすることは、相手から好意的に見えるはずです。

結論としては、外国語に関する職業に就こうとするならば、やはり学習する必要はあると思います。
それ以外の人にとっては、自動翻訳機があれば暮らせる世の中がくるでしょう。


お読みいただきありがとうございました