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「(旧タイトル:サーチライト)AIなどの最先端技術と人間の幸せが両立する社会を実現(目指す)するための提言」

『笑顔競争が始まった! 笑顔を識別して点数化するビジネス』

【笑顔100点を出さないと仕事ができない?】
みなさんご存知ですか?
毎日100点を取らないと仕事をさせてもらえない会社があるんです。

いまやAIの顔認証機能が劇的に進化を続けています。
そして、いつの間にか会社や日常生活、社会の中にAIの顔認証機能が使用されているのです。


広島市にあるタクシー会社では、勤務前に「笑顔チェック」を行っています。
出勤すると、パソコン画面に向かって笑顔をつくります。
その笑顔をAIの顔認証機能が「笑顔判定」します。
(笑顔の度合いに応じて点数が変動する)

上手く笑顔が作れずにいると、「ダメだね。出んね(100点が)」と管理者から言われます。
しかも低いトーンで。
そんな言い方したら、余計に笑顔なんかでえへんで、って言いたくなりますよね。

このタクシー会社がこの「笑顔チェック」を導入した理由は、「笑顔がタクシーにとって一番大切だから」とのこと。

しかし、笑顔を人間がチェックするのではなく、AIによる笑顔判定機に任せたのは、機械(AIによる画像判定)の方が公平だからとのこと。
確かに、人間であれば、「情」が混じったり、「判定の基準」が曖昧だったりします。
そういう意味ではAIによる判定は「公私混同無し」、「公平」であるといえます。

このタクシー会社では、さらにドライブレコーダーも活用(監視?)しています。
接客時の笑顔やドアサービスなど、決められた手順やサービスを行っているかどうかをドライブレコーダーを使って監視しているのです。
(そこまでやられるとしんどくね~!)
もし、この会社のサービス規定を守っていないとクレームが入った場合はドライブレコーダーの映像を確認し、料金を全額返金する決まりとなっているそうです。
(ドライバーはたまらんわ!)

 

【イトーヨーカドーで始まっている笑顔競争】
同じように「笑顔判定機」を使用している会社があります。
大手スーパーマーケットのイトーヨーカドーでは、店舗販売員による「笑顔チェック」を行っています。
こちらでは単に笑顔チェックするだけではなく、「笑顔競争」を行っているのです。
売り場ごとに「笑顔」の点数を競わせているのです。
驚くべきことに「笑顔のランキング表」なるものを作成しているのです。
(それは売り場ごとの笑顔得点がグラフにされたものです)
さらに毎日の笑顔の点数がカレンダーに記録されて、その人の点数が一目瞭然となるのです。(アプリを使用するのでスマホで見られます)

 

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スーパーは接客業ですから笑顔が重要だというのは当然のことだと思いますが、こちらも人間による判定ではなくAIの画像判定機を使用しているのです。

ある店長さんいわく、
「私は笑顔が売り上げを左右すると信じてます」
「笑顔があふれるお店のほうがお客さんが集まりますよね?」
だそうです。

 


【笑顔判定のポイント】

このAIの笑顔判定機を開発したのは大手電機メーカーです。
笑顔判定機が「笑顔」と判定するポイントは、
「頬があがる」
「鼻が広がる」
「口角が上がる」
などです。

 

【笑顔ビジネス戦争が始まる】
人間生きていれば笑顔でいられない時があります。
それでもサービス業などの仕事に就いている人たちは笑顔をつくって仕事をしなければなりません。

笑顔がビジネスにおいて重要だとされたのはいまに始まったことではありません。
中国の古い言葉では「笑顔が作れなければ商売が出来ない」と笑顔が商売においていかに大切なのかということを伝えています。

しかし、これからのAI社会といままでの社会の違いはなにか?
それは笑顔を人間が判定するか、AIが判定するか、ということです。

こうした「笑顔判定機」の導入は、サービス業を中心にして導入する会社が徐々に広がっていくことでしょう。

しかし、それはどういった社会でしょうか?

ライバル店よりも良い笑顔(サービス)を競い合う。
笑顔がビジネス戦争の道具となる時代になりつつあるということです。

 

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【作り笑い(笑顔)と本物の笑顔の違い】
残念ながら笑顔判定機では、作り笑い(笑顔)と自然な笑顔を識別することは出来ません。
単に顔の表情、動きが笑顔に値するかどうかを識別しているにしか過ぎません。

しかし、生身の人間は作り笑い(笑顔)と自然な笑顔とを分けて認識することが出来ます。
ある意味では、だれでも霊能者なのです。
人間は単に顔の口角が上がったからその人が笑っていると思うのではなく、その人の顔の表情だけでなく、言葉では表現できない雰囲気などを感じ取っているのです。
ですから「作り笑い(笑顔)」と「自然な笑顔」を判別するのは人間のほうが圧倒的に優れているということです。 

 

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【個人的な意見】
「笑顔」をAIで画像判定し、それを仕事に活用する。
確かにAIの画像解析能力はとても優れています。
しかし、それは便利な道具にしか過ぎません。
便利な道具で大事なのは「使い方」です。

包丁だって料理を作るのに使用するか、強盗が人を殺すのに使うのか、それは使い方(人)次第です。

個人的な意見を述べると、笑顔判定するのは良いがそれに頼り過ぎて、使いかたを間違えていると思うのです。
笑顔というのは、パソコン画面を見て「はい笑顔をつくって」と言われて作るものでしょうか?

笑顔はビジネスにおいて重要である。
笑顔は接客の要である。
という点は私も同じ意見です。

ですが、それを点数化され他の人と競争させられる。
これでお客さんが本当に喜ぶ接客ができるでしょうか?
作り笑い(笑顔)に騙される人(お客さん)もいるかもしれません。
上手に作り笑い(笑顔)をする人もいるかもしれません。

ですが、それはあくまでも強制されたものです。
「やれ」と言われて作った笑顔です。
「笑顔ランキング表」なんてナンセンスです。

 

接客業をしていれば、お客さんとの間で自然と笑顔が出るときがあります。
客の立場に考えてみれば、売り場に来るなり、作り笑い(笑顔)で店員が近づいてきたら、ちょっと好い気はしません。
むしろ逃げ出したくなるのではないでしょうか?

便利な機械(笑顔判定機)の使用に反対するつもりはありませんが、それは経営における安易な逃げではないかと思うのです。
これは接客業を中心とした会社の経営を批判しているということです。

 

接客業をする従業員の笑顔はどこから出てくるのか?
それは、
「いい会社に入ったな」
「いまの仕事が楽しい」
「素晴らしい上司に恵まれた」
「自分の仕事が認められた」
「この会社(仕事)はやりがいがある」
「お客さんに喜んでもらいたい」
「お客さんのためになにかしたい」
「お客さんから感謝された」

そうした与える気持ち(愛の気持ち)と感謝、そして働き甲斐を感じているときに自然と笑顔は出てきます

会社の経営者や管理者というのは、そうした環境やシステム(経営理念や方針、社風)を作る責任があるのです。
上司と部下、従業員同士がコミュニケーションを上手く取り合い一致団結し(ラグビーのワンチームのように)楽しく生き甲斐を持って働ける職場を作ることで「笑顔」の接客は生まれてきます。
もちろん労働時間、給料、休日などの労働環境が整っていることが前提です。


ディズニーランドの従業員は、とても素敵な笑顔をしています。
その笑顔はどこから来るのかといえば、ディズニーの理念からです。
「夢と魔法の国をつくる」
「ゲストに楽しい時間を過ごさせる」
こうしたディズニースピリットからきているのです。
(もちろん笑顔の訓練はしています)


笑顔は強制で作らせるものでも、他人と競争するものでもない。
笑顔は与える気持ちから出るもの。
職場環境に満足し、仕事へ生き甲斐を持って働くならば自然と出るもの。


「笑顔判定機」に頼る会社の経営者や管理者は、安易に便利な道具に頼ってリーダーシップをとるべき責務を放棄していると言わざるを得ない。
従業員の笑顔をつくるのは、「あなたがたの役割である」。
従業員が笑顔をつくれないのは「あなた方の経営やリーダーシップに問題がある」。
と言っておきたい。


要するに、従業員の幸福を本気で考えている会社であれば、そこで働く従業員は笑顔で仕事をすることが出来るのです。
(働く個人が笑顔をつくる個人的責任があることはいうまでもありません)

従業員に笑顔で接客させたいのなら、「経営者や管理職がまず従業員を笑顔にさせなさい」ということです。

 

お読みいただきありがとうございました。