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「(旧タイトル:サーチライト)AIなどの最先端技術と人間の幸せが両立する社会を実現(目指す)するための提言」

『退職の予兆を見抜くAI』

退職の予兆を見抜くAI!

 

【辞めたい気持ちは見抜かれている】
「会社を辞めたい」そう思ったことが一度はありませんか?
たいていの人が経験することではないでしょうか?

でも、その退職の意思は、「辞める」とはっきりとしてから行動に移しますよね。
迷っていたり、悩んでいるときには、特別親しい人以外には口にしませんよね。

だって、会社側に「辞めようと考えている」なんて言えませんから。

もし、あなたの「退職の気持ち」が見抜かれていたら、どうしますか?

そんなことないだろう、という時代は近々終わりを告げますよ。

なぜなら、社員の退職の意志(辞めたい気持ち)を見抜いてしまうAIが登場し始めたからです。

 

【実際に導入されているAI】
千葉県のある病院で実際に「退職を見抜くAI」が活躍しています。
(他にも同じようなAIを使っている企業がある)

大きな病院だと、受付や会計などを行う医療事務は、医療事務の専門会社の社員であることが多いようです。
職業柄、ミスが許されない職場であるがゆえにストレスから退職する人が後を絶たないそうです。

全国に医療事務の社員を送り込んでいる医療事務受託会社ソラストでは、かつて多いときには新入社員の4割が退職する事態にみまわれていました。

その対策として会社は、新入社員に対してこまめな面談を行ってきました。
これは直接面談することによって、アンケートだけでは読み取れない感情であるとか、本音などを理解しようという試みだと思います。

しかし、こうした取り組みでも退職しようとする人を面談で見抜くことはほぼ出来ません。
なぜなら、社員が本音を言うはずがないからです。
当たり前ですよね。

仮に退職したいな~と考えていても、はっきりと退職すると決意するまで、意思表示はしません。
「辞める」と簡単に同じ会社の人には言えませんよね。

日本人は「気配りの民族」、「世間の空気を読む民族」であり、「集団意識(仲間意識)の強い人たち」ですから、他人の目を気にしてあからさまに言えるわけがありません。
また、堂々と言うことでもないかもしれません。
そして退職の意志表示を示したときには、退職を止めることはたいてい出来ません。

退職して欲しくない会社側と、退職を考える社員とは立場がまったく違うので、平行線のままです。

医療事務受託会社ソラストでは、面談の際に社員が記した文章から退職の予兆を見つけ出す人口知能(AI)を2017年から導入しました。
そして、AIが退職の予兆ありと診断した社員に対して、手厚いサポートをすることによって退職者を減らそうとしました。

ここで面白い現象が起きました。
それは会社側が面談で退職の意志がないと判断した社員に、AIが退職の予兆がありと診断したのです。
人間の目では予兆が感じられなかったのです。
しかし、AIは退職の予兆ありと診断したのです。

そこで再度面談をして深く聞いてみると体力的に疲労していたり、家庭と仕事の両立で悩んでいたりしたことが分りました。

つまり、人間では見抜けない退職の予兆に関して、人間よりもAIのほうが正確に判断できるということです。

こうしたことがなぜ起きるのか。
それは人間には「先入観」「思い込み」があるからです。
それと人間は本音をなかなか言わないからです。
本音を言わないことが、面談する側からみれば「辞めたい」とは考えていないのだと判断してしまうのです。

AIが指摘した文章では、社員の満足度はそれなりにありましたし、文面からははっきりとした退職の予兆を感じ取ることは出来ません。
ですが、AIはそこになにかを読み取ったのです。

 

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AIには感情もありませんし、人間関係に縛られているわけでもありません。
AIは過去の退職に関するデータから学習し、その規則性を導き出して判断するだけです。

AIが学習したのは実際に退職した人の面談記録です。
そこから人間では読み取れない隠れた共通点を見つけ出すことが出来るのです。

人間の場合は、文章の意味で判断しますが、AIは文章そのものを読み取っているわけではなく、単語、接続詞、助詞などの構成要素に分解し、分解された単語とその順番を洗い出します。
そこから隠れた共通点を導き出すのです。

AIを導入してその判定を検証すると、AIが退職の予兆ありと診断した人は平均の倍以上の確率で退職していることがわかったのです。

しかし、退職の予兆ありとAIが指摘した社員へ面談などのフォローを徹底したことで退職率を半減することが出来たそうです。

検証結果で、離職の可能性が高い社員を抽出する目的は人間よりもAIのほうが優れているということが分ったのです。


【今後増々増えるAIによる人事管理】
株式会社カオナビと楽天技術研究所は、社員の人材管理サービス「カオナビ」で収集したアンケート、性格、表情、勤怠などの情報と、楽天技術研究所のディープラーニング技術を組み合わせて、社員のコンディションの悪化や退職などのリスクを予測するAI「コンディション予測AI」を開発すると発表しています。

今後は、こうした社員の退職、コンディション(心身ともに)に関する対策にAIが増々頼られるようになるでしょう。

こうしたAIによって新入社員は監視されるようになるのです。

 

【個人的な意見】
怖い世の中になりましたね~!

だって、「あいつ辞めようと考えているんだな」なんて、ばれてしまうのですから。

もちろんこうした情報は人事や管理職、経営陣などの一部の人にしか知らされない情報です。

少子化
人口減少。
高齢社会。
そして人手不足。

企業を取り巻く人材の確保には、不安材料しかありません。

企業側とすれば、離職を防ぎ、長く働いて欲しいでしょうし、そのほうがコストもかかりません。

これからは、離職率が高い会社は生き残れない時代がやってきます。
ですから、離職率を下げることは企業の生き残りをかけた重要項目のひとつなのです。

だいたい、離職率が高いということは、なにか理由があるのです。
ですから、退職の予兆を掴んでそれに対処すればいいというものではなく、社員が辞めたくなる根本的な問題の解決をする必要があります。

ただ、職業、職種によってはどうしてもついてまわる問題がありますから、それをどうやってカバーするのかということを合わせて対処することが必要だと思います。

単にAIに退職の予兆を見抜いてもらえばいいというものではありません。

「会社を辞めたい」という人間の感情が読み取れる社会は、企業側には良くても、働く社員にとってはプライベートな分野に入り込まれているようで気持ちのいいものではないかもしれません。

しかし、時代はそうした方向に動いていることは間違いありません。
プライベート情報がAIによって蓄積、学習されていく世の中となりつつあるのです。

それがものすごく便利な世の中であると同時に人類がかつて経験したこのないような、プライベート情報をさらけ出す時代となっていくことでもあるのです。

しかし、こうした「辞めたい」という心の中のプライベート情報がさらけ出されることに反乱を起こす人類が現れるかもしれませんね。
AIが人類に反乱を起こすのではなく、人間がAIに反乱を起こすかもしれませんね。


お読みいただきありがとうございました。