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「(旧タイトル:サーチライト)AIなどの最先端技術と人間の幸せが両立する社会を実現(目指す)するための提言」

『AIロボットの劇的な進化が人間の仕事を奪っていく【中編】』

AIロボットの劇的な進化が人間の仕事を奪っていく(中編)!


まずは【前偏】をご覧ください。

 
【未来のAIロボット時代を予感させる事例】
〈商品管理ロボット〉
あるネット通販会社では、「商品管理ロボット」を導入しています。
そこにあるのは碁盤の目のように張り巡らされたレーンの上をAI搭載のロボットがせわしなく商品を運び管理している風景です。

客から注文が入るとAIロボットは発送の準備をするとともに、膨大な注文データを元にして、次に仕入れる商品をAIが決めていきます。
通常、ネット通販の商品管理や発送では、仕分け作業に人間が従事していました。
5万点におよぶ商品はすべてAIが売れ筋を予測し、発注するのです。

 

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つまり、ほぼ無人で商品管理、発送準備、データ管理、売れ筋商品の予測、注文作業をAIが行ってしまうのです。
人間がやることといえば、AIが準備した商品をAIの指示に従って梱包するだけなのです。
それが人間のやる唯一の仕事です。
しかも指示はAIが出しているということがポイントです。
人間の作業員は、画面から送られてくるAIの指示に従って作業していきます。
つまり、人間よりもAIの立場が上であるということです。

私はこの風景を見て「素晴らしい」と思うと同時に恐ろしさも感じました。
もし、未来社会の仕事のほとんどにおいてAIが人間に指示をだすようになったとしたら、一見便利で楽なようですが、一歩間違えば「ターミネーター」の世界が現実のものとなってしまう恐れもあるのではないかと思ったのです。


【人にやさしいAIとは】
フランス・パリに「人にやさしいAI」を開発している人がいます。
それは音声で電気製品をコントロールできるAIです。
この重要なポイントはネットにはつなげずに使うことが出来るというところです。
マイクが拾った音声データはすべて内部の電子基板の中のAIが処理します。
ですから情報が外に漏れる心配がなく、プライバシーが守られるのです。

プライバシーを守りながらAIを使うことが出来る、この考え方は非常に重要であると思います。
現時点でのテクノロジーのほとんどはネット接続することがほとんどなので、情報(プライバシー)が漏れてしまう恐れがあるのです。
時おりニュースで個人情報が流出したなどと報道されています。
個人データが部外者の手に渡ってしまう危険性を含んでいるのがいまのネット社会なのです。

AIは便利なのですが、常に個人情報をネット上にさらけ出しているようなものなのです。
あるいは知らず知らずに個人情報を取られているようなものなのです。

フランスでは9%近い失業率が問題とされています。
AIが効率化のためだけに導入されれば、失業者は増々増えていくでしょう。


【ドイツのAI革命】
ドイツはいま国を挙げてAIなどのテクノロジーに力を入れています。
国家の政策として「インダストリー4.0」を掲げ、AIやロボット、IOTなどのインターネット技術を駆使して新たな産業革命をリードしようというのです。
「インダストリー4.0」を日本語に訳すと「第4次産業革命」です。

ドイツでは、AIとロボットだけの工場がすでに稼働しています。
例えば、名刺ケースをネットから注文すると、AI工場にて製造が始まります。
間違いなく注文のとおり作られているのかを確認するのも人間ではなくAIです。
生産ラインが離れていてもロボットが作りかけの製品を自動で運んでいきます。
こうしたAIとロボットだけの工場を「スマートファクトリー」と呼んでいます。
こうしたことをすることで海外に出て行った工場を国内に呼び戻そうとしているのです。

ドイツが国をあげておこなっていることは、「人間がいなくても成り立つ新産業」なのです。
では、まったく人間がいない無人工場なのかといいうと、現時点ではAIやロボットを外からコントロールする人間が必要だということです。
しかし、労働力としては、ほぼ人間を必要としない産業形態を作り出そうとしています。
これは今までの仕事がなくなることを意味するので、労働者(社員)は今までと違った内容の業務に就くことになります。

ドイツのスマートファクトリーは大企業を中心にして、続々と導入されています。
しかし、雇用確保の政策を掲げているドイツでは雇用確保も避けて通れません。
経営者とすれば、すでに人間の社員がいなくても工場は稼働させることが出来ます。
しかも人間のように休憩はいりません。
24時間、ミスをしないで働き続けることが出来ます。
経営者とすればこんないいことはないと思うでしょう。

しかし、民主主義の時代ですから、人間を雇わなくてもいいと国家が言ってしまったら、次の選挙で議員は落選、政権は交代してしまうでしょう。
ですから、現時点ではAIとロボットの導入だけでなく、人間の雇用も守ると言っているのです。
しかし、いずれ工場や生産現場から人間は消えていくことになるでしょう。
ロボットは人間より早く正確に、休みなく働くことが出来るからです。

AIやロボットの導入と雇用の確保を目指すドイツでは、国をあげて取り組もうとしているのが新しい仕事の能力を身につける「仕事の再訓練」です。
労働組合と大学が協力して、AIロボット時代に対応できるように能力開発プログラムをスタートさせました。
シーメンス、ダイムラーなどドイツを代表する会社から社員が参加しています。

ドイツには、法律に基づいた制度があって労働者に仕事を用意しなければならないのです。
ある人の仕事が時代に合わなくなったからといって阻害するのではなく、労働者の能力を高めることで新たな時代を生きていけるように教育しているのです。

訓練の要は、AIやロボットに奪われにくい仕事を体験すること。
例えば、ロボットなどの機械のメンテナンス(保守・修理)をすることなどです。
これには修理の経験は必要ありません。
なぜなら、AIが指示を出すからです。
故障した機械がタブレット端末を通じて修理の必要な個所を自ら教えてくれるのです。
さらに修理方法まで指示してきます。
ですから人間はAIが示した箇所を指示通りに作業して修理すればいいのです。
(でも、これって人間がAIに支配されているような感覚がしませんか?)
楽と言えば楽ですけど。
どこが壊れているのか調べる必要もないし、修理の方法まで指示してくれるのですから、考えなくて済みます。
すべてはAI主導なのです。

ひとつはっきりしていることは、今と違った能力(仕事)を身につけなければ、これからの10年後、20年後を過ごすことはできないということです。


〈マイスターロボット〉
どんな複雑な形でも寸分違わず削り出すことができるロボットがあります。
熟練の木工技術者を凌駕する腕前を持っています。
それだけでなく、熟練工にも製作不可能な製品まで作り上げてしまいます。
しかも圧倒的な早さで。
熟練工がどこから手を付けたらいいのか分からないという複雑な木工製品を作り上げてしまいます。
熟練工とすれば悪夢を見ているかのようだといいます。

しかし、考え方を変えてみると、こうした複雑な作品を作り出せるロボットがあれば、いままで加工が難しく製品化を諦めていたアイディアを実現できるのではないか。
ある熟練工は、こうして製作はロボットに譲り、自分はデザインに専念することにしました。
こうした事例のようにロボットを導入することによってより高度な製品を作り出し、なおかつ人間も仕事を奪われることがない。
むしろ、ロボットを活用することによって今まで以上の仕事が出来るようになる。
こうした方向こそがAIとロボット時代と人間が共存できる姿であると考えます。


【中国のAI】
いま中国で話題になっているレストランがあるのをご存知ですか?
そのレストランとは、店員がいない「無人レストラン」です。
注文から料理の給仕まで無人で行うことができます。
端末から料理を選んで注文すると、らせん状のレールからクルクルと回って注文した料理が客のいるテーブルへと運ばれます。
料理そのものは特別変わったものではありませんが、新しもの好きの中国人にうけているといいます。

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いま中国は空前の無人ブームが到来しているのです。
餃子を作る無人工場では、1日に190万個の餃子が作り出されています。

さらに注目を浴びているのが、「無人スーパーマーケット」です。
この無人スーパーマーケットで買い物をするには、まずスマホで顔の登録をします。
スマホをかざしてゲートを通る。
店内に入り、自由に商品を選ぶ。
あとはそのままゲートを通って店内から出れば、自動的に口座から代金が引き落とされるのです。

実は、天井には30台のカメラ(AIの目)が設置されていて買い物客の様子はすべてAIが監視しています。

買い物客にすれば「すごく便利」となります。
ゲートを通るだけで買い物が出来てしまうのですから。
レジの長い行列を待つ必要がなくなるからです。
この無人スーパーマーケットを経営する会社は、京東(ジンドン)集団です。
京東(ジンドン)はアリババに継ぐ中国第二のネット通販会社です。
京東(ジンドン)の物流倉庫は、AIとロボットの技術を駆使して徹底して自動化が進められています。

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これからの世の中では物流の仕事はAI化、ロボット化されることになります。
現時点では、荷物の小さなものや軽量の商品などが中心ですが、やがて重くても大きくてもどんな商品でもAIとロボットがこなしていくことになるでしょう。
20~30年後の物流倉庫は無人化されている可能性が高いと予想されます。
ですから、若い方が物流業界で働いている場合は、10年後、20年後の仕事のことを考えていまから失業したときの備えをしておいたほうが良いです。


〈宅配ロボット〉
箱型で4輪の宅配ロボットが登場しています。
宅配ロボットは前面に取り付けられた5つのカメラを解析しながら道路を進みます。
車や歩行者が近づくと避けて通ります。
街を自動で走り、目的地に到着すると、受取人のスマホに知らせます。
受取人は自分で荷物を取り出します。
この宅配ロボットは北京などの一部の都市で運用されています。

この宅配ロボットは、いまはまだ実験的な運用ですが、やがて街中至る所に宅配ロボットや宅配ロボットカー(無人の宅配者)が走り回るようになるはずです。

中国はAI先進国となろうとしているのです。
国内の工場で働く労働者の仕事はどんどんなくなっています。
他の仕事を探そうにも、飲食業やオフィス業務もいずれなくなっていきます。

AIやロボットに仕事を奪われるのはずっと先のことだと考える人もいます。
しかし、それはそう遠くない未来であることは間違いありません。
私たちが思うよりもずっと早くそのときはやってきます。
というよりもすでに始まっています。


【最も自動化が進む国は?】
アメリカの調査会社によれば、AIによるロボットの自動化が最も進でいく国はどこかというと、それは日本です。
2030年までに最大で52%の作業が自動化される可能性があるとの発表もあります。
つまり、いまある仕事(職業)の半分は約10年後に無くなってしまう可能性があるということなのです。
それはなぜかというと世界的にみて日本の賃金水準はかなり高いからです。
そのためコスト削減のために自動化が早く進んでいくのです。

影響を受けるのは製造業だけではありません、事務などのホワイトカラーの仕事も自動化されていきます。


ある工場では、レーザー光線で自由自在に金属を加工できるレーザー加工機が働いています。
レーザー加工機は3Dプリンターと並んで21世紀の工作機械として注目を集めています。
その心臓部の半導体は全自動で製造されています。
しかし、レーザー用半導体の検査だけはいままで人間の眼による確認作業が必要でした。
顕微鏡で人間が目を凝らし、ほんの小さな傷や汚れを発見していたのです。
傷を見つけるだけでなく、傷の大きさや場所から、どの生産工程で出来た傷なのかを調べる作業を人間が行ってきました。
それも今後は人間に代わって「検査ロボット」が行うようになります。
顕微鏡の眼で捉えた画像の中からAIが傷などを検知し、その原因まで特定します。
人間の精度を上回る精度でAIロボットは傷を見つけることができます。

AIは少子高齢社会の重要な働き手となると見られています。

AIの導入に力を入れているソフトバンクグループの孫社長は、「AIロボットがより人件費よりも安いコストで、より正確に、より素早く、ミスのない形で仕事をこなすことができる」
と述べています。
ソフトバンクグループでは、AIロボットの第一弾として「掃除ロボット」の導入を検討しています。

 

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人間が指示を出さなくてもAIロボットが店舗のレイアウトを認識しながら隅々まで掃除していきます。
すでにあるショッピングモールではこの掃除ロボットが導入されています。
掃除ロボットは1台で5人分の仕事を休みなくこなします。
そのショッピングモールは70あるモールのすべてで掃除ロボットの導入を決めたそうです。
この掃除ロボットが導入される前は、パート社員が掃除を担当していました。
その多くが高齢者です。
つまり、高齢者の職場もなくなりつつあるということなのです。

20年後には、3人に1人が65歳以上の高齢者となると予測されています。
一度定年を迎えた高齢者が再就職先とできる仕事はそう多くありません。
その受け入れ先となっていたのが、清掃の仕事でした。
それがAIロボットの登場で仕事が奪われようとしています。

現時点では人手不足が叫ばれていますが、それが逆にAIロボットの導入を加速させているのです。
人手不足を解消するために、より安い費用で、より効率よく業務をこなせるAIロボットを導入するというのは、経営判断としては当然のことです。
いま時代はこの流れなのです。


【銀行にもリストラの嵐が吹きすさぶ】
2017年には、大手金融機関のみずほ銀行で、店舗を削減し、1万9千人の人員を削減することを発表しました。
これは単なる人員削減ではなく、AIによって業務を効率化し、コスト削減(人件費)を狙ってのことです。
そうです。
銀行員もAIロボット時代には仕事を奪われていくのです。
このときの発表で当時のみずほフィナンシャルグループ社長の佐藤康博氏はこう言っています。
「経費構造のところに抜本的なメスを入れていくことが持続的な成長にとって非常に重要である」

さらに三菱UFJ銀行や三井住友フィナンシャルグループなども同じようにAIによって業務の効率化を図りながらコスト削減をすると発表しました。

正直、私から見れば、佐藤康博社長の発言は、みずから経営者失格だと言っているようなものです。
銀行が減益を起こしているのは、銀行という事業そのものが「時代遅れ」「ニーズに応えていない」ということが根本の原因です。
なのに、コスト削減を叫んで、社員の生活を奪っていくのであれば経営者の資格はありません。
一番削減しなくてはならないのは、社長です。
コスト削減も大事ですが、正しい事業構造、成長する事業戦略こそが持続する経営には必要なのです。

要するに、銀行経営とは役所の仕事と同じだったのです。
魅力的な商品がなくてもやってこれた時代がとっくの昔に終わっていたのに、それに気がつかないで新たな事業プランを構築せずにいたから、減収減益となったのです。
経費削減なんて素人だって思いつきます。
そうではなく、利益を生み出す事業プラン、事業構造、事業戦略を打ち立てることが経営者の役割なのです。
減収となったのなら、まずその責任をとって社長自らが退職せよと言いたい。
社員の削減を一早く声に出すのは、わたしからするとロクな経営者じゃない。
ただ、時代の流れはAIとロボットの登場であることは間違いありません。


後編はこちら


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